「誰でもない人」---『エミリ・ディキンスン家のネズミ』 スパイアーズ著
マサチューセッツ州アマストの、ディキンスン家の屋敷に引っ越してきた白ネズミのエマライン。しばしの住まいと定めたのは、一家の上の娘・エミリの部屋だった。
ある日、エミリの書いた詩を読んで心を動かされたエマラインは、自分の感情を紙に書きとめずにはいられなくなる。
---それから、隠棲の女詩人と白ネズミとの、ひそやかな交流がはじまった。
みすず書房の「詩人が贈る絵本」シリーズの一冊で、ちょっとまとまった時間があれば一気に読めちゃうくらいの長さの作品ですが、19世紀アメリカを代表する女流詩人であるエミリ・ディキンスンの伝記的事項と詩のエッセンスが、ギュッと詰まっています。
作者が、エミリのことを知り尽くしているんでしょうね〜。ネズミの目をとおしてエミリの暮らしぶりを観察させ、さらっとまとめています。
エミリが、詩の断片のような言葉を、大量の紙片に書きつづっていること。
いつも白いドレスを着ていること。
家政を仕切っている妹ラヴィニアと、たまに衝突すること。
編集者の「ヒギンスンさん」との会見が物別れに終わったこと。
近所の子供たちにジンジャーブレッドをふるまっていたこと。
---などなどが、12篇の詩をまじえながら語られます。
挿絵も可愛い!
私はエミリについて全く知らなかったのですが、もうちょっと知りたいな〜と思いました。
とくに、エミリはどうして、女学校卒業後、屋敷に閉じこもって人まじわりしないようになったのか。
狭いけれどかぎりなく深い、自分の人生の「境界線」のなかで生きることができる人(63p)
になったのかという点は、きわめて謎めいていますしね。
◎19世紀女流詩人つながり
*A.S.バイアット
『抱擁』 (>あらすじ、感想@倉庫)
*マーガレット・フォースター
『侍女―エリザベス・B・ブラウニングに仕えた女性』 (>あらすじ、感想@倉庫)
- [2008/06/25]
- 本|海外作家 |
- トラックバック(0) |
- この記事のURL |
- TOP ▲
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://granola.blog34.fc2.com/tb.php/147-3a7b0cf0
- | HOME |



