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『かなしき女王---ケルト幻想作品集』 

かなしき女王―ケルト幻想作品集
かなしき女王―ケルト幻想作品集

フィオナ・マクラオド/作
松村みね子/訳
沖積舎/1999



微弱電波ながらケルトものにアンテナを張り続けているので(「ケルトの民」参照)、下記の本が引っかかりました。

かなしき女王―ケルト幻想作品集
フィオナ マクラウド Fiona Macleod 松村 みね子
4480421262

ちくま文庫です。19世紀末、ダブリンでケルト文藝復興運動が盛り上がっていた時、実はウィリアム・シャープというスコットランド人の男性作家が、女性名のペンネームを使って発表した、スコティッシュ・ケルト伝承に基づく短編集だそう。

買うつもりでいたところ、別版元(沖積舎)からも出版されていることに気がつきました。どうやら、松村さんの手になる大正時代の初出時ママの、旧仮名遣いの本であるらしい(ちくま版では、現代仮名遣いに改められています)。

どうせなら…と、旧仮名の方を購入しました。
沖積舎版「かなしき女王」表紙

なぜ読みにくい方を敢えて?といいますと、どちらが蔵書としたときに満足感が大きいか、のちのちまで愛でられそうかという、まあ、「趣味」「嗜好」としか言いようがない理由なのですが…。
作者名「マクラ‘ウ’ド」が「マクラ‘オ’ド」なところからして可憐ですし、旧仮名やフォントがかもし出す気配が、松村さんの淡々とした文章にマッチしていますし、ケルト物語の格調高く、古雅なムードを引き立てていると感じました。

収載の作品は、俗人の英雄・美女が登場する物語と、キリスト教聖職者が登場する物語とのふたとおり。前者は割とわかりやすいのですが、後者は、古来のケルト・ドルイド信仰と、黎明期キリスト教のエピソードが微妙に、断片的に混交した、不思議なイマジネーションに彩られて、人や風景すべてが、冬の陽光のような白紗で覆われてぼんやりと発光しているような、ほろほろと綻びていく夢のような…。筋を追うというより、詩を鑑賞するように、文字を拾っていくので精一杯でした。
---とはいっても、旧仮名遣いの文章によって儚さや静けさが演出されていて、字面を眺めているだけでも眼福。

脳内で繰り広げられた挿絵は、エドワード・バーン=ジョーンズでした。
Angeli Laudantes

こんな感じ。
彼の描く人物は、ありえない等身・硬直した姿勢・無表情、な感じが余り好きではなかったのですが、無感動で人間離れしたところが、この作品集にピタリとはまっていました。

バーンズとマクラオドと、同世代人でしたか〜。

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