『乱菊物語』
いきなり谷崎でございます。たまーに翻訳文から離れて、谷崎とか鏡花、荷風あたりの文章を読みたくなるんですよね。
室町時代の末ごろを舞台にした伝奇小説です。
未完に終わっています。
もったいない…。結末まで読みたかったです。とっちらかった人物や小道具を大団円に持ち込む巨匠のワザを見せて欲しかった!
物語の流れはふた筋。
ひとつは、播磨国は室の津の遊女かげろう御前の話。
天女のように気高く美しく、客にも滅多に姿を見せぬかげろうが、「二寸二分四方の函におさまる十六畳の羅綾の蚊帳」を持参してきた者に身を任せると公言する。唐の商人張某が、宝を手に入れ、意気揚々と室の津に向かうが、船も人も宝も、忽然と消えてしまう。どうやら瀬戸内の海に蟠踞する海賊のしわざだったが、海賊は宝を見失う。ほどなく「海龍王」なる者の名で、室の津に高札が立った。賀茂明神の小五月祭の日に、宝を持参してかげろうにまみえるというのだ。
もうひとつは、播磨太守赤松上総介と、代官浦上家の跡取り息子掃部助の話。
若くして家督を継いだ上総介は養子婿。家付き姫との夫婦仲は冷えきり、老臣達にも頭が上がらない。下克上の時節柄、浦上家の増長甚だしく、年の近い掃部助が何かとライバル視してくる。家来を都に遣わして、零落した公家の姫君の美しいのを探しに行かせると、掃部助も負けじと家来を派遣した。
このふた筋は、小五月祭のおり、上総介と掃部助がかげろう御前をめぐって鞘当てを演じるという点で、いったん交差するのですが、その後まじわる気配のないまま、いいところで中断。
気になる…。
かげろう御前の再登場はあるのか。
若武者の姿をしていた「海龍王」の正体は。
美女くらべで敗れて面目を失った浦上家の老臣沼田庄右衛門のリベンジはあるのか。
播州の御家騒動に、かげろうや海賊が絡んでくるのか、来ないのか。
などなど、妄想は尽きないところ。
構想メモみたいなものだけでも残っていればよかったのにな〜。
- [2007/06/06]
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